サクラ
サクラ(桜)は、バラ科モモ亜科スモモ属 |
古くから日本の国花とされ
ている桜は、バラ科サクラ属に分類される木で、山桜、彼岸桜、大島桜などと呼ばれて、20種
類以上が日本の山地に自生しています。山桜と呼ばれるものでも、自然交雑によって、花色や樹形にいろいろな変異を生じて
います。 山桜の名所はなんといって
も奈良県の吉野山でしょう。四月上旬から五月にかけて、標高差によって開花時期がずれているので、麓から順に下千本、中
千本、上千本、奥千本などと呼ばれ、満開の山桜の景色が展開されます。 現代の桜は山桜よりも、な
んといっても染井吉野という種類です。全国で桜の名所となっている公園や並木道に植えられているのはすべてこれです。染
井吉野は、幕末の頃、江戸染井の植木屋が発見し、命名して売り出したと言われています。山桜の一種大島桜と江戸彼岸と呼
ばれていた彼岸桜の雑種とされています。これは挿し木としてどんどん増やすことができ、生長が早いのでみるみるうちに全
国へ広がって行きました。しかし樹齢が比較的短く数十年と言われています。 広島の爆心地に平和公園が
造られるとき、広島市商の卒業生有志が、元安川河畔に染井吉野を植樹しました。これが後に平和公園の桜として親しまれま
した。現在ではその桜は老化したので、広島市公園緑地課によって新しい木が補植管理されています。 憲政の神様と言われた尾崎
行雄が東京市長時代(明治36~45)、染井吉野の苗をアメリカへ贈り、それがワシントンのポトマック河
畔へ植えられました。その返礼としてアメリカからハナミズキ(アメリカヤマボウシ)が贈られたことはよく知られた話で
す。ハナミズキは現在日本各地の公園で、白色や赤色の花をよく見かけます。 桜の銘木としては、枝垂れ
桜が日本の各地に見られます。枝垂れ桜は、江戸彼岸という彼岸桜の変種と言われますが、樹齢が長いのが特徴です。京都円
山公園の中央部の枝垂れ桜の大木は、公園を代表する桜として有名です。 広島市でも佐伯区神原の枝
垂れ桜は樹齢300年以上、樹高は10mを超えており、県の天然記念物として指定されています。その他、湯
来町湯の山の枝垂れ桜など、銘木が各地に知られています。 (文:渡辺増富氏) |