大賀ハス





ハスの花言葉は「雄弁」「休養」「沈着」等。         



平和記念公園の平和の鐘の周囲には幅2メー トルの池があって、大賀ハスが植えられている。大賀ハスの種子は1951年3月千葉県検見川の泥炭層下から発見され翌年 開花した。発見者の大賀一郎氏は発芽まで2000年以上を経過したと推定した。

 

 平和の鐘の池は狭いから、ハスはあまり繁 殖しない。毎年、花数も多くないし、一個の花の命は短いので、咲いているのを見る機会を逃してしまう。でも今年はデジカ メとインターネットグループに元気付けられて出かけた。とは言っても、早朝から見張っていたわけではないから、撮れた写 真は、ごらんのように花弁が半分ほど落ちてしまっている。言い訳がましいが、おかげで花の構造が良く分かる。ほとんど白 に近い花弁には淡紅色の縁取りがある。多数の雄しべに囲まれた中心部はハス(ハチス)の名のもとになった蜂の巣に既に似 ている。

 

 ハスの実は最近では、中国からの砂糖漬け 以外めったに食べられない。古代ギリシアの話では、戦いが終わって帰国中の兵士がその実を食べて、あまりの甘美さに、帰 国の希望を忘れそうになったという。もしかしたら、それはこの古代ハスに似ていたかも。それはともかく「日本では地下茎 を食べるのよ。天ぷらにいくつも穴が開いたものがありませんでしたか?」「あ、それなら食べたことがある」といった話に なることもある。

 

ハスは、早朝に咲いて昼ごろにはしぼむ。これを3日ぐらい繰り返して、花弁が 落ちてしまう。幼い頃、早起きしてハス畑に行けば「ぽん」と花の開く音がするんだよ、と聞かされたが確かめたことはな い。半分花弁が落ちている大賀ハスの写真は午前11時ごろ撮った。ハスはインド原産らしい。そしてインドは仏教の発祥 地。お客様の中には仏像や仏教と結びつけているひとが多い。

 

ところで、この狭い池にはスイレンも咲いている。スイレンもハスに劣らず美し い花ではあるが、広島の復活と結びつけるのなら大賀ハスだけにしてはどうだろうか?


(文・恵南一子)