モミジ
      ~広島県・市の花~ 



(紅葉、カエデ類の総称、Acer)          
花言葉は
秘蔵の宝,自制。                                           

   海外での日本庭園や盆 栽の人気の高まりとともに日本のサツキやモミジなどもよく 知られるようになってきた。それでも、日本のモミジ(特にイロハモミジ)を見て、その葉の小さいのに驚きの声をあげる欧 米からのお客様は多い。私はトロントを訪れた時、それと全く逆の経験をした。巨大なモミジの種(翼果)が道に落ちて い る。「おばけだ」といっしょに行った姪は言った。それを留守番の夫に話したところ、「カナダの国旗にあるのはカエデだ。 モミジじゃない」と言い張る。一説に「カエデは蛙手の意。この種の紅葉が特に美しいので、もみぢと呼ぶに至る」とあ る。 園芸種では葉の切れ込みの深いものをモミジ、それ以外をカエデと呼んでいるが、植物学上は区別していないそうだ。

 

  県庁東館前(帝 釈峡と豊平町から移植)や縮景園などのモミジは春から梅雨時にかけて青々と美しい。しかし紅葉となると、旧市街地で は夏 の日照りが長く続くので、期待を裏切られる。幸い、県内には宮島、三段峡、帝釈峡などモミジの名所は多い。ちょうど見事 な紅葉に行きあわせると、つい大胆にも、詩歌に歌われた紅葉狩などを説明しようとして、自分の語学力や日本文化の知 識の 足りなさを痛感する結果になる。そして「日本のモミジはどんな大木でもメープルシロップやメープルシュガーをとることは できません」と味気ないことを言っている。材は硬質で楽器、家具、工芸品、フローリングなどさまざまに利用される。
(文・恵南一子)