ヒガンバナ
 

ヒガンバナ(彼岸花、学名 : Lycoris radiata)は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草である。花言葉は「情熱」 「悲しい思い出」等。     

           

今年の残暑は厳しかった。それでも彼岸の頃になると、その名にたがわずヒガンバナが花茎をも たげてきた。地上に葉も何もないのに、いきなり地下の鱗茎(一般に球根といっているもの)から花茎が伸び始める。一週間 位で3040cmに達し、やがてその頂にあの見事な赤い花を つける。花が終わってから地上に現れる葉は、冬を越して翌3月頃枯れる。

 

牧野日本植物図鑑によると、地方によって俗名が多く、マンジュシャゲ他50余の呼び名がある ということだ。堤防や田のあぜを真っ赤に染めるヒガンバナは、稲穂やススキとともに秋の田野の風物詩だ。イネは、もちろ ん昔から人間が栽培してきたものだが、カヤもごく最近まで、屋根を葺くために人の手が加わってきたという。ではヒガンバ ナが人里に、あるいはかつて人里だった所に、こんなにも多いのは何故だろう?美しいからというだけではないように思え る。 

 

HIGAにはおなじみの渡 辺増富氏(渡辺直子会員のお父様。HIGA会員のために、「平和記念公園・平和大通りの樹木」というタイトルで、その場を歩きながらお 話していただいたことがある)の著書「野の草」には「地下の鱗茎は有毒成分のアルカロイドを含むが、デン粉も多量に貯え ている。かつては飢饉に備えた救荒作物として利用され、その名残として耕地の周りに多いといわれている」とある。飢饉の 時には木や草の根まで食いつくし、、、などと書かれている草のひとつなのだ。

 

ところで、ヒガンバナについて私が今までお客様と交わした言葉といえば、花の名を尋ねられて 「spiderlily」と答えたことしか記憶にない。
(文・恵南一子)