フクジュソウ



フクジュソウ(福寿 草、学名:Adonis ramosa)は、キンポウゲ科の 多年草。
花言葉は「幸福」「幸せを招く」「永久の幸福」「回想」等。


おめでたい名前をもつフクジュソウの花は、正月用の寄せ植え等に使われます。だから蕾や花は よく知られていますが、葉はどこにあるのでしょうか。ちょうど今、「蕗のとう」の近くにフクジュソウの花が咲き始めたの で、こちらも今後観察を続けて、花の後の写真もお送りするつもりです。

 

 フクジュソウは 学名も英名もAdonisです。アドニスといえばギリシア神話の美少年。そちらのアドニスを調べてみました。

 

 本来アドニスは アッシリア辺りの五穀豊穣の神様で穀物の精霊。ギリシア神話にとりいれられて美の女神アプロディテーに愛される美少年に なります。アドニスは狩りで猪に殺されます。悲しんだアプロディテーは

 

「思う存分泣いてから、せめてこの若者の記念にとその血潮から一つの花を咲かせました。春の はじめに…血のように赤い…花弁を開くあのアネモネ…これがそのアドニスの血潮から咲き出たという花なのです」(「ギリ シア神話」呉茂一著 中央公論社)

 

 フクジュソウの 花はまれに赤もありますが黄色が多いので、花色からいえば赤いアネモネがアドニスだという方が理にかなっていると思うの ですが…まあ先を見てみましょう。

 

「一説では…アドニスは箱に入れられて冥途へおくられました…冥府の女王ペルセポネーもアド ニスをたちまち好きになりました。一方アプロディテーもしきりにアドニスを返してくれとせがみますので、大神ゼウスのお 裁きで、それからのち、半年はアプロディテーのところで、あとの半年冬のあいだは冥府でくらすことになりました」(同 上)

 

 この話と同じよ うに、植物の方のアドニス、フクジュソウも一年の半分を地上で花を咲かせ葉を茂らせて、後の半分を地下に眠った状態で過 ごす植物です。神話を作った人々は、自然を実によく見ていたのですね。

 

 英語の花の本の 説明を付け加えておきます。

 

"Adonis amurensis,,, in late winter and early spring bears buttercuplike, golden blooms singly at the tips of stems.  Green foliage is finely cut."Encyclopedia of Garden Plants

(文・ 恵南一子)