「蕗のとう」と「福寿草」
フキ(蕗) Petasites japonicus  英名:Japanese butterbur

蕗のとう 2005年2月20日撮影


2005年3月31日撮影 茎がかなり伸びてきました


2005年4月28日撮影 大きな葉の下に枯れてしまった花と茎があります

フキは食用に栽培され、葉をつけた茎を束にしたものが店で売られています。「蕗のとう」はフキの花茎で、季節感のある食材として用いられます。写真では茎部分はほとんど見られなくて、包葉に包まれたたくさんの蕾が見えますね。まだ雪が降ったり、冷たい風が吹いたりしていても、味噌汁の実やてんぷらに使われた「蕗のとう」のほろ苦さは春の訪れを感じさせてくれます。でも観光シーズンには早すぎるので、これを話題にしたことはありません。

牧野日本植物図鑑によるとフキは雌雄異株の植物で「雄花は白黄色、雌花は白色」とあり、「野の花」(渡辺増富著)には「(雄花も雌花も)いずれも花茎の先に多くの頭状花をつけるので蕗のとうの時期には区別できない」とあります。

フキ(葉茎)は一年中店で見かけますが、自然の状態では「蕗のとう」より少し遅れて最初の小さな葉が土の上に出てきます。葉の茎はどんどん伸び、円状の葉も大きくなります。葉が茂った頃、「蕗のとう」はどうなっているのでしょう。小学生の観察記録のようにこの写真の「蕗のとう」の成長をしばらく追ってみようと思いますので、続きもご覧下さい。

英語の花の本の説明も付け加えておきます。

"Petasites japonicus…in early spring produces dense cones of small, daisylike, yellowish white flowers before large, light green leaves appear." Encyclopedia of Garden Plants

 フクジュソウ(福寿草、元旦草) Adonis amurensis  英名:Amur adonis

福寿草 2005年2月20日撮影


2005年2月23日撮影 花が少し大きくなりました


2005年3月31日撮影 花は散り、緑の葉が茂っています


2005年4月28日撮影 気温が上がり、葉がしおれ気味です


おめでたい名前をもつフクジュソウの花は、正月用の寄せ植え等に使われます。だから蕾や花はよく知られていますが、葉はどこにあるのでしょうか。ちょうど今、「蕗のとう」の近くにフクジュソウの花が咲き始めたので、こちらも今後観察を続けて、花の後の写真もお送りするつもりです。

 フクジュソウは学名も英名もAdonisです。アドニスといえばギリシア神話の美少年。そちらのアドニスを調べてみました。

 本来アドニスはアッシリア辺りの五穀豊穣の神様で穀物の精霊。ギリシア神話にとりいれられて美の女神アプロディテーに愛される美少年になります。アドニスは狩りで猪に殺されます。悲しんだアプロディテーは

「思う存分泣いてから、せめてこの若者の記念にとその血潮から一つの花を咲かせました。春のはじめに…血のように赤い…花弁を開くあのアネモネ…これがそのアドニスの血潮から咲き出たという花なのです」(「ギリシア神話」呉茂一著 中央公論社)

 フクジュソウの花はまれに赤もありますが黄色が多いので、花色からいえば赤いアネモネがアドニスだという方が理にかなっていると思うのですが…まあ先を見てみましょう。

「一説では…アドニスは箱に入れられて冥途へおくられました…冥府の女王ペルセポネーもアドニスをたちまち好きになりました。一方アプロディテーもしきりにアドニスを返してくれとせがみますので、大神ゼウスのお裁きで、それからのち、半年はアプロディテーのところで、あとの半年冬のあいだは冥府でくらすことになりました」(同上)

 この話と同じように、植物の方のアドニス、フクジュソウも一年の半分を地上で花を咲かせ葉を茂らせて、後の半分を地下に眠った状態で過ごす植物です。神話を作った人々は、自然を実によく見ていたのですね。

 英語の花の本の説明を付け加えておきます。

"Adonis amurensis,,, in late winter and early spring bears buttercuplike, golden blooms singly at the tips of stems.  Green foliage is finely cut."Encyclopedia of Garden Plants