| ホームステイを引き受けて
恵南 一子 会員(英語)
観光客と同様で、留学生も海外へ出て行く方が日本への受け入れに比べて断然多いそうです。そこで広島市立大学では今年の夏、広島平和研究所と協力して、海外からも参加してもらおうという講義が開かれました。講座名は「ヒロシマと平和」、期間は7月28日から8月6日まででした。海外からは10名余り、国内からは30名程度の参加者があったそうです。
学生ひとりのホームステイを私方で引き受けました。その際、うちには若者がいないことを懸念しました。大学生といえば20歳前後と決めてかかっていたのです。ところが割り当てられたのは51歳の女性でした。
アン・イシダ・ホーは日系三世で、ハワイ大の職員兼大学院生です。来日した学生は日系ばかりというわけではないので、アンはよく他の学生にアドバイスしていました。たとえば、「ご飯をお代わりする時は、一口分残して出すの。最後は茶碗に一粒も残さず食べるのよ」日本人は米を作るお百姓の苦労を思って、一粒も粗末にしないのだと説明していました。私はこんな話を我が子にしたかしら?アンに親からの躾なのかと尋ねたら、叔母に聞いたとのことでした。叔母は食器類、衣類の扱い方、お客を招く時、招かれた時の心得、礼儀作法、行事の際の家の飾りつけ等などを、折にふれては話してくれたそうです。
「こうしたものは、日本の家庭では母親から娘や嫁へと伝えられていくのだよ」ともおっしゃったそうです。私は自分が嫁の教育をおろそかにしていることを指摘された気がしました。それも大切だがその前に私は、息子の教育に手を焼いたのだと話しました。驚いたことにアンも息子は悩みの種だとか。
共通の話題が多くて、私にとっては本当に楽しい10日間でしたが、講座については彼女の口からは辛辣な言葉もきかれました。
「討議の時間がとってあるが、質疑応答だけで終わるのは不満なの」無理もないと思いました。被爆体験の意義や戦後日本の平和主義などについては、講義はすべて英語で行われたのです。日本人学生の多くは聴くだけて精一杯だったことでしょう。同大は毎年続けていきたいそうです。将来アンの批判にも応えることが出来、主催者側も言っているように「世界中の若者が平和について熱い議論を交わす場」になれば素晴らしいと思います。
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