俳句

  俳句は、世界でいちばん短い詞です。 5−7−5の17語という限られた語数の中で、作者は自分の思いをいきいきと読み上げるのです。そのためには、感動を伝えるのにふさわしい言葉を無駄なく使わなければなりません。

  自分が伝えたいことを際立たせるためには、余分な言葉を省くことも大切です。 読者は、17文字だけでなく、その後ろにある目に見えないもの、余韻を感じ取ります。

  また、俳句には必ず「季語」が入っていなければなりません。 例えば、句の中に夏の季語である「蛍」を見れば、夏の夜、きれいな小川に蛍が飛び交う情景が目に浮かんでくるはずです。 こういった作者と読者の間の約束事を知っていれば、俳句の良さをより味わうことができます。 美しい四季に恵まれた日本に住んでいる私達は、季節の移り変わりにとても敏感です。 この国民性が季語というルールを作ったのでしょう。

  俳句は、平安時代からあった、短歌(5−7−5−7−7、31語)を起源とし、17世紀に、「奥の細道」の作者である松尾芭蕉によって完成されました。 これは、芭蕉の有名な句です。

                            古池や
         蛙飛び込む
         水の音

  
俳句を声に出して読んでみると、5−7−5のリズムが心地よく響きます。 耳に心地よいということは、それだけ心にも深く染みるのです。 この、日本人に親しまれたリズムが、俳句の魅力のひとつでしょう。

  芭蕉のような偉大な俳人でなくても、自分の思いを素直に17語に読み込めば、誰にでも俳句は作れます。 多くの人々が、同好会やインターネット上のグループで俳句を楽しんでいます。 そこでは、誰もが作者であり、読者であり、また、批評家です。 あなたも一句ひねってみませんか?