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『能』? いいえ、知りません。
 能楽(能・狂言)は650年もの間、絶えることなく引き継がれてきた世界最古の舞台能芸術と言えるでしょう。『人類の口承及び無形遺産の傑作』として、ユネスコ『世界無形文化遺産』一覧表にも記載されました。

 能楽はいつ頃生まれたのですか?
 その起源は6〜7世紀にかけて日本にもたらされた中国の『散楽』に由来します。散楽は、日本古来の芸能と融合し、8世紀頃に『猿楽』として知られる大衆芸能になりました。音楽、踊り、歌からなる猿楽芝居が「能」と呼ばれるようになり、台詞中心の短い芝居が「狂言」となりました。14世紀後半に、能は観阿弥、世阿弥父子によってその完成を迎えました。
 能は、象徴的な古典音楽劇で、「囃子」(器楽伴奏)、「謡曲」または「謡」(語り)、「仕舞」(舞)から構成されます。その最も顕著な特徴は、主役、「シテ」が精巧な能面をつけ、豪華な装束を身にまとい、極度に簡素化された舞台に登場することでしょう。能は人間の宿命を描くことを主題としています。

狂言

 狂言は、古典的な喜劇で、台詞が重視されます。封建社会の庶民の日常生活が描き出されています。典型的な主役としては、太郎冠者という悪戯ばかりしている召使や、口やかましい女房、怠惰な夫、滑稽な僧侶が挙げられます。狂言は小学生にも理解できる数少ない日本の伝統芸能と言えるでしょう。

 能楽(能・狂言)は、同じ舞台で交互に演じられてきました。この組み合わせによって、観客は、荘厳な音楽劇である能とユーモラスな対話劇である狂言の対比を楽しむ事ができるのです。
 しかし、今日では独立して演じられる能や狂言も人気となっています。

厳島神社の能舞台
 能舞台江戸時代(16031867)末期までは、能舞台は屋外に建てられていました。現在、能楽堂と呼ばれる50以上の屋内、屋外の舞台があります。厳島神社の能舞台は、日本で唯一、海上に建てられているという点で他に類を見ない舞台です。『厳島合戦』で勝利を治めた往時の大名、毛利元就によって最初の能が厳島神社に奉納されました(1568年)。そして6代目広島城主、浅野綱長によって1680年に現在の能舞台に再建されました。毎年、4月の三日間、桃花際の行事で御神能が演じられます。

参考文献:A Guide to the Japanese Stage(講談社インターナショナル)
        英語で話す「日本の伝統芸能」(講談社インターナショナル)
        宮島を楽しむ(中国新聞)
       (財)大阪21世紀協会資料

参考ウェブサイト:(社)宮島観光協会
              (社)能楽協会
               文化庁