紅葉狩り
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日本では昔から、桜が春を象徴するように、紅葉は秋を象徴するものになっています。これを鑑賞しに出かける ことを「紅葉狩り」と呼んで、春の花見と並ぶ代表的な季節行事として、日本人の生活に深く根ざしているので す。

元々は、7世紀頃の宮廷や貴族の優雅な遊びのひとつでしたが、17世紀の江戸時代に入る頃には、一般庶民の間にも、紅葉を見ながら酒盛りや趣向を凝らした食事を楽しむことが広がりました。

「もみじ」というのは、カエデやウルシ、イチョウなどの落葉樹の葉が、赤や黄色に変わることを指すのですが、特に見事に色を変えるカエデの葉の別称としても「もみじ」が使われます。

「紅葉」、そして「紅葉狩り」は短歌や俳句に詠まれ、また、能や歌舞伎の題材にもなっています。着物や帯の模様のモチーフとしても親しまれています。紅葉の時期は短く、すぐに色あせて散ってしまうところも、桜と似ており、日本人が伝統的に大切にしてきた繊細ではかない美しさをあらわしているのです。まるで短くとも名誉ある人生を重んじた武士のように。

紅葉は燃え盛り、やがて散ります。そしてまもなく初雪が降り、日本人が何世紀にもわたって経験してきた自然のサイクルが完結するのです。

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